ADHDは「Attention-Deficit Hyperactivity Disorder」の略称で、日本語に訳すると「注意欠如・多動症」です。文字通り「不注意」「多動傾向」が主な特性となります。
ADHDといっても、人によって特性の現れ方はそれぞれ違います。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においては次の3つのタイプがあるとされています。
- 不注意優勢型
不注意が目立つが、多動性・衝動性は目立たないタイプ - 多動性ー衝動性優勢型
多動性・衝動性が目立つが、不注意は目立たないタイプ - 混合型
不注意・多動性・衝動性、どれも目立つタイプ
ADHDの診断とは
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)を診断基準にし、問診やカウンセリング、検査などを中心に行います。
ADHDの診断を受けるときに、準備しておくといいもの
ADHDの診断には、子どものころの様子や、仕事や生活に関する情報が必要になることがあります。
診断に必要な情報が不十分であったり、ADHDと似た特性をもつ別の疾患の可能性があったりすることで、状況によっては診断がすぐにつかない場合もあります。
受診する際には、以下の準備をしておくといいでしょう。
- 家庭、職場などの各場面において、悩んでいること
- 小さい頃の生活態度が分かるようなもの
ADHDの治療方法とは
ADHDの治療法として、「薬物療法」「環境調整」「認知行動療法」などがあります。
● 薬物療法
ADHDの症状を改善するために薬を服用していきます。脳内の神経伝達物質のバランスを整えるものなどがあり、人によって合うものが違うため、主治医と一緒に続けていきます。
● 環境調整
自分の特性(得意・苦手なこと)を理解したうえで、苦手分野を補うために生活環境や人間関係などを見直す方法のことです。
● 認知行動療法
認知行動療法とは、認知(考え方や価値観)のゆがみを改善し、状況や場面にふさわしい行動がとれるよう、トレーニングを行う方法のことです。
自分について知る
日常生活や仕事における困難さを少しでも軽減するために、自分を知ることが大切です。
まずは自分の得意なこと・不得意なことを整理し、不得意なことがあれば、どのような環境やサポートがあればできるかを考えてみましょう。
職場の環境やサポートにおいては、以下のような障害者雇用の事例を参考にしてもいいかもしれません。
自分を知ることが難しい場合、発達障害者支援センターなどの支援機関を活用して、自分のことを知るという方法もあります。
ADHDに関する情報収集や相談をしてみる
日常生活のさまざまな困りごとの相談ができる場所をご紹介します。
【発達障害者支援センター】
ADHDなどの発達障害がある方への支援を総合的に行っている専門機関で、各都道府県・指定都市に設定されています。日常生活・仕事などのさまざまな困りごとについて、相談することができます。
【精神保健福祉センター】
主に精神疾患・精神障害がある方の自立と社会復帰を支援するための専門機関で、各都道府県に設置されています。
【自助グループ・家族会】
ADHDがある方の自助グループなどが各地につくられています。同じ悩みや困りごとを持った仲間が集まる場所となるため、生活上の困難をうまく乗り越えるアイデアを共有できることもあります。
インターネットなどで検索して探してみてもいいでしょう。
就労に関する相談やサポートを受けてみる
働くことに関するさまざまな困りごとの相談やサポートが受けられる場所をご紹介します。
【障害者職業センター】
都道府県に設置されている機関で、障害のある方に対する職業リハビリテーション、就職支援、就労継続支援などを行っています。
【ハローワーク】
求人紹介やセミナーなど、就労全般をサポートするところです。ハローワークの中には、発達障害を理解している専門チューターを配置し、就職先を探す発達障害のある方に向けて相談業務を展開しているところもあります。
【障害者就業・生活支援センター】
就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っています。
【就労移行支援事業所】
一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に、就職するために必要なスキルを身につけていただくためのプログラム実施、就職活動から就職のサポート、就職後の職場への定着支援をおこなう場所です。
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