俳優の佐野浅夫さんが死去 3代目水戸黄門

テレビの人気時代劇「水戸黄門」の3代目黄門役で知られ、長年、映画やドラマで活躍した俳優の佐野浅夫(さの・あさお)さんが6月28日午後9時59分、老衰のため自宅で死去した。

96歳。横浜市出身。葬儀は家族で行った。

太平洋戦争中から俳優として活動し、戦後、劇団民芸に参加。1993年から2000年まで「水戸黄門」の主役を務め、初代、2代目とは異なる役作りで、親しみやすい黄門像を築き上げた。

 映画では熊井啓監督作品の常連で「帝銀事件 死刑囚」「地の群れ」などに出演。ドラマでは「肝っ玉かあさん」や「おやじ山脈」「藍より青く」で人気を集めた。

NHKラジオで1954年に始まった子ども向け朗読番組「お話でてこい」でも長年、語り部を担当した。「せん爺さんの太鼓」などの著書がある。

 96年に勲四等瑞宝章を受章した。

日大芸術学部在学中の44年に劇団苦楽座に入団。
45年3月公開の東宝「後に続くを信ず」で映画初出演。同年8月に大学を中退。
苦楽座は中国地方を慰問する移動演劇「桜隊」に改称したが、
佐野さんは特攻隊に応召し、劇団を離れた。

丸山定夫、園井恵子、仲みどりら桜隊のメンバーは45年8月6日、広島に投下された原爆の被害に遭い、佐野さんは仲間を失うというつらい経験をしている。
「自分だけが生き残ったことが後ろめたかった」と、その後は沈黙を守り続けたが、
「仲間を知る人がいなくなった今こそ」と、
07年8月6日に東京都目黒区の五百羅漢寺で62年間の沈黙を破り、
仲間たちへの思いを語り、追悼した。

 終戦から5年後の50年には劇団民藝の結成に参加。
71年に下條正巳、鈴木瑞穂(94)らとともに退団し、
活動の場を舞台から映画やテレビに移した。

映画は「きけわだつみの声」(50年)「真空地帯」(53年)「野火」(59年)「けんかえれじい」(66年)などに出演。とりわけ、熊井啓監督作品の常連となり、「帝銀事件・死刑囚」(64年)「日本列島」(65年)「地の群れ」(70年)などで存在感を示した。

98年に先妻の英子夫人に先立たれ、芸能活動を休止。
2000年2月に21歳年下の女性と再婚して話題を呼んだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました